創薬研究 標的にしやすい分子1

こんにちは、らいおんです。
医療用医薬品の研究開発について幅広く語っていきたいと思います。

今回も引き続き薬剤標的の選び方についてです。
創薬研究 標的の見つけ方】で「間違え探し」で見つけた「間違い」が標的になる可能性があるということを書きました。
ただし、残念ながら見つかった「間違い」が必ずしも薬の「標的」になるとは限りません。

体の中では細胞が受け取った刺激が細胞内に伝わり、それに対して様々な分子が反応して、次々に色々な反応が起こります。これをシグナル伝達といい、その結果として色々な生体反応(例えば血圧上昇やアレルギー反応など)が起きるわけです。

そのシグナル伝達は、東京の路線図をイメージしていただくとわかりやすいと思います。
各路線でたくさんの乗り換え駅があって、東京駅から表参道駅に行く時に複数の行き方があるように、シグナルも一つの固定された流れではなく、複数のシグナル伝達経路が複雑に絡み合っています。

細胞のシグナルを受け取るのは、細胞の表面にある分子が起点になることが多く、それらには「受容体」「膜タンパク質」と呼ばれるものが含まれます。
生体内で何かの現象を起こしたい時には、この起点をブロックすればその後のシグナル伝達は起こらなくなり、結果としてアレルギー反応が止められたり、血圧が下がったりするわけです。
もちろん、シグナル伝達の途中をブロックすることも可能ですが、そうすると複雑に絡み合ったシグナル伝達経路のせいで、他のシグナル伝達もブロックする可能性があります。
他のシグナルをブロックする可能性というのは、【創薬研究 標的の見つけ方】で少し述べた「非特異性」という話で、望まない反応(=副作用)の原因になることが多く、避ける方が良いと考えられることが多いです。しかし、がん細胞のように細胞全体が変化してしまい、シグナル伝達が書き換えられてしまっているような場合には、そこを逆手にとって標的とすることもあります。
標的分子、まだまだ続きます!

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