こんにちは、らいおんです。
医療用医薬品の研究開発について幅広く語っていきたいと思います。
【創薬研究 標的にしやすい分子1】でお話しした「受容体」「膜タンパク質」など、細胞表面に存在する分子を標的とした薬を開発しようとした場合について、見ていきたいと思います。
細胞膜は脂質二重膜であり、細胞内と細胞外の物質(分子)のやりとりを制御しているいわば関所のようなものです。
細胞内の分子を標的として薬を作ろうとした場合には、その標的に届くためにその薬は細胞膜を通過する必要があります。
しかし、細胞表面に存在する分子を標的とした場合には、細胞膜の透過性の心配は不要です。
このことにより、細胞表面に存在する標的は、細胞内にそのままでは入らない大きな分子である抗体をはじめとしたバイオ医薬品の標的とされることが多いです。
だからといって、低分子化合物の標的に細胞表面に存在するものがないか、というと全くそんなことはありません。ただし、大きな分子を小さな化合物で特異的に制御するのはそんなに簡単なことではないので、特異性という面では一般論として抗体の方が優れている場合が多いです。また別の機会に述べますが、薬としての扱いは低分子化合物の方が圧倒的に扱いやすいことが多いので、標的としているタンパク質がバイオ医薬品でも低分子化合物でもどちらでも狙える場合には、色々な要因が秤にかけられて、どちらで狙うかを決めていきます。
次回は膜表面分子の中でも標的としてメジャーな受容体についてもう少し述べたいと思います。